宇宙混沌
Eyecatch

もう一回 [1/7]

 もう一回したいと言われて覚悟を決めたものの、それは酔いの醒めた頭にはあまりにも恥ずかしい行為だった。
 シャワーで体を清めていると、首周りや胸には鬱血痕が散らばるのが見える。昨夜はそこを優しく吸われる事に、うっとりしていた自分が居た事を思い出して、顔が赤くなった。
 泥酔していたドランクが避妊などろくに行う筈もない。異種族だから子供ができる確率の方が小さいが、股の間から漏れ出てくる白は、これまでただの相棒だと思っていた男の一部を取り込んだのだ、という事実を突きつける。
 別に、悪い事ではない。あたしも多少酔っていたとはいえ、合意の上だ。ただのリップサービスかもしれないが、ドランクは愛を囁いてくれたし、痛がれば頭を撫でて速度を緩めてもくれた。
 及第点だろ、こんな初体験でも。捧げたい相手も特に居なかったし。
 シャワーから上がると、酔っていて記憶が無いからもう一度したいと言った張本人は、気まずそうに毛布で体を隠している。
「お前もシャワー浴びろ」
「う、うん」
 行水で上がってきたドランクは、裸のままベッドの上で待っていたあたしに提案する。
「やっぱりさあ、先に朝ごはん行かない? 食いっぱぐれたくないでしょ?」
「……そうだな。その前に、服着ても見える所の痕は、回復魔法[ヒール]かけてくれ」

 二人で食べているのにこんなに静かな朝食は久し振りだ。ドランクは終始何か言いたそうにしていたが、バイキング会場では口にしなかった。
「その、初めてだったよね?」
 部屋に戻ってきて、やっと問う。
「まあな」
 ほんの少し血が滲んだ程度だったが、ドランクにはわかったらしい。
「今日はもうやめといた方が良いかな?」
「別に。今日は休みだし、あたしは昨日も休みで疲れてはないからな」
 此処でやめて、そのままいつも通りの休日を過ごすこともできた。けれど、どの道またすることになるのだろうし。
「……やっぱり嫌だったんでしょ? 初めては好きな人とが良かったよね?」
 うじうじと謝り続ける男の耳を引っ張る。
「終わった事をどうこう言っても仕方無いだろ。あたしが良いって言ってるんだから、それで良いじゃないか」
 引っ張られたままで傍にあったドランクの顔が、今度は彼の意思で一層近づく。
 触れる前に何か言いかけて、結局何も言わずにドランクはあたしの唇を塞いだ。

闇背負ってるイケメンに目が無い。