宇宙混沌
Eyecatch

お前には渡さない [2/5]

「……とは言ってもねえ、スツルム」
 それから半年ほどが経ったある日。私はスツルムに、昨日の仕事で無実の罪をふっかけられた、と相談を受けていた。
「お前が嘘をつく様な奴じゃないとは解ってるよ。でも、それを他の人にも証明できるものが無いとね、私にはどうにもできないさ」
「……そうだな」
 スツルムの悔しい気持ちも良く解る。物分かりが良いから飲み込んでくれたけど……。
「その分、これから見返してやりな。話はそれで全部?」
「もう一つ……。昨日組んでた男に、無理矢理宿に連れて行かれた」
「えぇ!?」
 思わず大きな声を出してしまう。
「それは怖かったね~。でもその様子だと何事も無く逃げられたみたいだね。良かった良かった」
「ああ。助けてもらった」
「へ? 誰に?」
「『青い髪のエルーン』。証言を頼んであるから、そのうち此処に来ると思う」
 その返答に、私は頭が混乱した。
 青い髪のエルーン。最近傭兵界隈で、高度な魔法を使うと噂になっているフリーの男だ。
「そいつ、確かこの前の仕事で、お前の敵方に居たって話じゃ……」
 一対一で戦っていたら、最終的に逃げられてしまって悔しい、と漏らしていたのはスツルム自身じゃないか。
「その時はな」
「はー。あの男、まともな所もあるんだねえ……」
「……どういう意味だ?」
「こっちの話。ヴォルケ、彼が来たら此処に通して」
「承知しました」
 スツルムは話が終わったのか、部屋を出ていく。私は窓の外の空を見た。
 魔法を使う青い髪のエルーンの傭兵なんて、そう多くは無い筈。多分、葬儀で見たあいつと同一人物だ。まさか、こんなところで接点が出来てしまうなんて。
「あー心配だなー」
「何がです?」
「後で話すよ」
 スツルムみたいに純真な奴に近付いて良い人間じゃないよ、あれは。
「そうだ」
 何かを思い出したのか、挨拶も無しにスツルムが部屋に戻ってくる。
「あいつ、礼は要らないからあたしと一緒に仕事がしたいと言っていた。丁度良い案件はあるか?」

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