宇宙混沌
Eyecatch

第1章:いきなり本番は駄目です [3/3]

 とはいえ、本当に僕が教えるの? つまりそれって、スツルム殿と僕とでセックスするって事だよね?
 僕の方はやろうと思えば出来るけど、スツルム殿はそれで良いのかな? テクニックだけじゃなくてやり方から教えろって感じだったし、初めてだと思うんだけど。
「スツルム殿」
 服を脱ぎ終えた所で、声をかける。スツルム殿はやはり躊躇していて、下着に指をかけたまま動きが止まっていた。
「怖いんでしょ? やっぱりやめない? そんなんじゃ上手く立ち振る舞えないよ」
「据え膳食わぬは男の恥じゃないのか」
「古い言葉を知ってるんだねえ」
「……お前だって、最初は怖かったし、恥ずかしかっただろ? だから手懐け方を教えてくれ」
 そう言うと思い切って下着を外す。豊満な乳房が揺れて姿を現した。
「今でも怖いし恥ずかしいよ」
 敵前にて己が一番理性を失った姿を曝け出す事。屈辱以外の何物でもないその行為を続けてきたのは、最初に悪い大人に騙されてしまったからだった。失ってしまった尊厳は取り戻せない。取り戻せないなら、その喪失すら生きる為の糧にしてやる。
 そう思ってずっと独りで生きてきた。
「じゃあ、尚更お前一人に背負わせる訳にはいかないな」
 スツルム殿が下も脱ぐ。僕の腿の上に跨ると、瞳も秘部も少し潤んでいた。

「じゃあ早速だけど、僕が甘いのは顔だけだから覚悟してね」
「自分で言うな」
「僕みたいに顔の良さと人当たりの良さである程度油断させられるならともかく、体一つで内偵を成功させるのは大変なんだからね?」
「だから自分で言うな」
 はあ、と可愛らしい溜息が僕の胸にかかる。
「まずはキスからしよっか」
 僕はスツルム殿の顎に指を当てて上を向かせ、覆い被さる様に唇を重ねた。そっと触れるだけの口付けをして顔を離すと、彼女の顔は髪と同じくらい赤くなっている。
「ねえ、やっぱり……」
「良いから続けろ!」
 口を塞ぐように、今度はスツルム殿から口付ける。僕は自棄になって、舌で無理矢理彼女の口を抉じ開けた。
 舌を入れて彼女の舌を探せば、奥へ奥へと逃げていく。離れない様に腕を絡ませた細い体躯は震えている。
 やっぱり嫌なんじゃないか。僕は仕事の時は、相手から求めるようになるまでの関係性を予め築き上げるので、いざとなって拒まれる事には慣れていない。ああ、そういえば今回の仕事の相手も、用が済んだし怪しまれない様に自然な別れを告げに行かないと。
 そんな事を考えつつも、手本を見せる様に僕は彼女の口の中を蹂躙する。舌を絡ませてくれないので、上の歯を一本一本舐めていく。スツルム殿が苦しそうに僕の背中を叩いたので、口を離した。
「息止めてなくても良いんだよ? 僕も鼻でしてるでしょ?」
「だ、だって……」
「それか、息継ぎの時に色っぽく喘ぐのも良いかなー」
「……わかった」
「今度はスツルム殿が舌入れてみて。絡ませ方教えてあげるから」
 気持ちとは裏腹に、体の方は興奮していく。それに釣られて少し調子に乗り始めたな、と自分でも思った。でも言い始めたのはスツルム殿だし、多少はね。
 スツルム殿が言われた通りに舌を差し込んでくる。一生懸命伸ばしているが、そもそも小さいらしい。僕は緊張して硬くなっているそれを、舌を柔らかくして包み込んだ。
「んっ……」
 思わず、という風にくぐもった声が漏れる。僕の竿の先端が濡れて、スツルム殿の下腹部を汚し始めていた。スツルム殿がそれに気付き、居心地悪そうに腰を動かしたので、絡ませていた舌を離す。
「怖がらなくて良いよ。今日は本番はしないから。仕事でしてきて疲れてるし」
「でも、これ……」
 うんうん、[]ってるよねえ。でもちょっと腰を動かす元気は本当に無いかな、僕結構遅い方だし。まあ、だからイッた振りして萎えさせて誤魔化す事もたまにあるけど。
「触ったり舐めたりしても良いよ」
「舐め……っ!?」
「え、知らなかった? 結構普通のプレイだけど」
 煽るような言い方になってしまった。スツルム殿は体を僕の足の方へとずらし、半端に硬くなったそれに顔を近付ける。
「でも無理はしなくて良いよ」
 急いで全部覚えなくたって。そもそも全部覚えたら仕事しに行っちゃうんでしょ。それは嫌だから、出来るだけ小出しにしていかないとな……。
 スツルム殿の小さな手が僕の竿を掴み、先端を小さな口が含む。舐める、とだけ言った所為か、気持ち良くなるような動きはしてくれず、ただ一生懸命顔を顰めて舌を動かしていた。その表情が麦酒を飲んでいる時と同じで、笑ってしまう。
 子供相手に何やってるんだ、僕は。
「ん!?」
 スツルム殿の身体を無理矢理引き剥がす。
「はい、今日はおしまい。僕明日も早いから」
 そう言うと、不満げではあったがスツルム殿も僕の上から退く。ベッドを降りようとする彼女に、ふと声をかけてしまった。
「今日このままこっちで寝る? シングルベッドだから狭いけど」
 彼女は頷く。僕は退けてあった布団を引いて、自分の枕を隣のベッドから取ってきた彼女にかけた。
「服着ないのか?」
「寒くないしめんどくさいな。スツルム殿は着る?」
「いや、いい」
 そう言って僕の隣にぴったりと並んだ。僕も枕に頭を乗せて天井を見る。
「こうやって寝るなら、今度からダブルベッドの部屋で良いな。安いし」
「なぁに? スツルム殿ってばそんなに僕と一緒に寝たいの?」
「うん」
 え、うん? 予想外の返答に彼女の方を振り向く。スツルム殿はもう瞼を閉じていた。
 ……酔ってるだけ、かな。うん、多分そうだよね。じゃなかったら眠くてちょっと惚けてたんだ。
 僕は枕元の明かりを消すと、僕の方に転がってきていたスツルム殿の手を自分の手で包み込んだ。

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